NATURAL
News Letter No.109
2017.04.01
急性腰痛の原因
腰痛には大きく分けて「急性腰痛(急に激しい症状が出るもの)」と「慢性腰痛(症状は緩慢だが、長引くもの)」あります。このうち、いわゆる「ぎっくり腰」などは、急性腰痛に入ります。ぎっくり腰を医学的に分かりやく定義すると、「椎間関節(ついかんかんせつ)が亜脱臼(あだっきゅう/関節から骨の関節面がはずれかかっていること。不完全脱臼とも。)した状態」ということになります。「椎間関節」というのは腰の後ろの方にある腰椎を支えている組織ですが、その部分が少しずれてしまったような状態がぎっくり腰です。椎間関節が亜脱臼すると、関節の中で出血が起こるという報告もあります。これはいわゆる「捻挫(ねんざ)」に近いものであり、ぎっくり腰をよく、「腰の捻挫」という言い方をするのはこのためです。ただし、ぎっくり腰がなぜ起きるのかという理由を一つに特定出来ないというのが現時点での事実なのです。ぎっくり腰の原因として「椎間関節の部分断裂が原因」だとか「仙腸関節(せんちょうかんせつ)に原因がある」と言われることもあります。その「病態(病気の状態や症状の出方)」は人それぞれなので、常に100%の確率で「これが原因だ」と言い切れないのです。さらに、ぎっくり腰などの急性腰痛では、腰の部分は全然悪くいのに強烈な痛みのため
に全く動けなくなることもあります。この場合ははっきりとした原因が特定できない「非特異的腰痛(ひとくいてきようつう)」に含まれます。
また、心理的な要因による急性腰痛もあるし、「筋・筋膜性腰痛(きんきんまくせいようつう)」という筋肉内に起こる痛みによって引き起こされる急性腰痛もあります。つまり、ぎっくり腰などの急性腰痛には実際に体の組織が損傷して起こるものと、そうでないものがあるということです。ぎっくり腰などの急性腰痛になったら、、痛みが強い時に無理をする必要はありませんが、完全に安静にしているのではなく、できる範囲で日常生活を送る方が治りが早いことがわかっています。ヨーロッパやアメリカの急性腰痛ガイドラインでも「安静にしているよりも、できる範囲で日常生活を送った人の方が、仕事に早く復帰できる」ということが明らかにされています。「痛み」を抑えるのに効果的なのは「快感」例えば好きな食事、好きな匂い、好きな音楽、好きな画像などは明らかに痛みを抑制することが挙げられています。そういう意味で、楽しみながら散歩をすると痛みを抑える効果が期待できます。散歩は、景色や音、興味関心などの刺激が脳に伝わり、気分も変わります。そういうことも含め、あらゆる意味で散歩は痛みに対して有効です。痛みを和らげる、忘れられる時間を持つことは医学的な治療だけに固執する必要はありません。患者さん自身が一番自分に合ったものを見つけて取り入れることで腰痛の痛みから解放された人も沢山います。
参考文献「あなたの腰痛が治りにくい本当の理由」紺野愼一著
とら食堂
こんなごはん、あんなおやつ、皆さまのおすすめレシピも教えて下さいね。
MENU たけのことそらまめ、やりいかのマリネ
材料(4人分)
やりいか…2杯
たけのこ…1本
そら豆…20個
オリーブオイル…大1
酒…大2
青しそ…3枚
塩、こしょう…少々
木の芽…少々
☆漬け汁
醤油…大1
酢…大1
アンチョビフィレ…2枚
オリーブオイル…大2
作り方
①たけのこは下茹でし、固い皮をむいて一口大にする。
②そら豆は、さやから出し茹でて薄皮をむく。
③漬け汁を作る。アンチョビフィレは刻んでおく。ボウルに材料を全て入れて良く混ぜておく。
④やりいかは内臓を出し、皮をむいて輪切りにする。フライパン温め、大1のオリーブオイルで炒める。お酒を加えアルコールを飛ばし、塩、こしょうを振る。③に加えて和える。
⑤④のフライパンをさっと洗い、大1のオリーブオイルを温め、①のたけのこと②のそらまめを焼き、みじん切りにした青紫蘇と漬け汁に加える。
⑥バットにうつしてラップをかけて30分程、味をなじませる。
なかがわ耳鼻咽喉科 院長福元晃先生のコラム
喘息の予防に魚油?
今年のはじめにアレルギーの予防について書きましたが、また喘息の予防の論文が出てきたのでご紹介したいと思います。デン
マークでの研究です。妊娠中のお母さんに魚油を摂ってもらい、その子の喘息を減らせるかということを調べたものです(1)。西欧化した国々では喘息やぜーぜーいう喘鳴を伴う疾患が、ここ数十年で2倍に増え、今は5人に1人の子供にみられるそうです。それに一致して近年では、調理での植物油の使用や家畜のえさに穀物を使用することが増えており、n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取が増え、魚などに含まれるEPAやDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取が減少しているそうです。このことから、その研究者たちはn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取の減少が喘息の増加に寄与しているかもしれないと考えたわけです。妊娠24週から出産後1週間までn-3系多価不飽和脂肪酸(魚油由来)2.4gをお母さんに摂取してもらい、その子が5歳になるまで経過を追っています。すると、妊娠中にお母さんがn-3系多価不飽和脂肪酸を摂取したお子さんでは16.9%に、お母さんが摂取しなかったお子さんでは23.7%に喘息がみられたそうです。妊娠中にお母さんがn-3系多価不飽和脂肪酸を摂取すると喘息の発症リスクを30.7%減らせた計算になります。遺伝的な問題なども含め、もともと血液の中にn-3系多価不飽和脂肪酸が少ないお母さんほど効果がみられ、その場合には54.1%減らせたそうです。喘息は様々な要因で起こると考えられており、他の国の人々で同様の効果があるかわからないとコメントされていますが、アレルギーも生活習慣を変えることで克服できる可能性があるのかもしれません。
1) Bisgaard H et al.
fish oil-derived fatty acids in pregnancy and
wheeze and asthma in offspring. N Engl J
Med 2016;375:2530-9.