NATURAL

News Letter No.133

2019.04.17

家族がアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)かも?どうする?

監修 東京大学大学院医学系研究 脳神経内科学 講師岩田淳

 
家族にアルツハイマー病によるMCIと思われる症状が見られたら、不安になってすぐに病院に連れて行きたくなるかもしれません。しかし、不用意に受診を促す事は本人を傷つけるだけでなく今後の治療に影響する可能性もあります。まずはどのように対応すればよいのか、順を追って解説します。

 
家族のアルツハイマー病によるMCIを疑った時に注意したいこと
最近はテレビやインターネットでもさかんに認知症が取り上げられているため、少しの物忘れでも「もしや認知症?」と心配になってしまう人もいるようです。しかし物忘れが多いからとすぐに認知症と決めつけてしまうのは早計です。

 
知っておきたい、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病によるMCI、老化現象の違い
高齢者の物忘れの原因としては「アルツハイマー型認知症」「アルツハイマー病によるMCI」「老化」の3つの可能性が考えられます。「老化」は加齢による自然現象です。人間の記憶力は一般的に、60歳頃を境にじょじょに低下していきます。そのため、「とっさに人や物の名前が思い出せない」「朝食の献立が思い出せない」などの老化による物忘れは誰にでも起こります。一方の認知症やMCIは脳の病気によるもので、「既知のはずの人やものを知らない」「朝食を食べたという体験そのものを覚えていない」など、老化による物忘れとは根本的に物忘れの性質が異なります。家族の物忘れが認知症によるものか老化現象なのか、最終的には医師の判断を仰ぐべきですが、ご家族もそれぞれの特徴を理解して冷静に分析することが大切です。

 
◎アルツハイマー型認知症の特徴✓体験しとことそのものを忘れる(食事したことを覚えていないなど)✓記憶力だけでなく判断力や計算力も低下する✓自分の物忘れについて理解できていない✓認知力の低下から日常に支障をきたす

 
◎アルツハイマー病によるMCIの特徴✓認知症の前段階✓ほかの同年代と比較して物忘れが多いが、その自覚は(時々でなく)常にある✓体験したことは覚えているが、詳細の内容をよく(すぐに)忘れる✓日常生活では困ることはあるが、独立して生活することは可能

 
◎老化による物忘れの特徴✓体験の一部を時々忘れる(食事をしたことは覚えているが何を食べたかを思いだせないなど)✓物忘れを自覚している✓ヒントがあれば思いだせる✓日常生活に支障をきたすほどではない
引用サイト:相談e-65.nethttp://sodane.e-65.net/mci/02.html

 

とら食堂

こんなごはん、あんなおやつ、皆さまのおすすめレシピも教えて下さいね。

 
豚肉の塩釜焼き

 
材料(4人分)
豚肩ロース塊肉…400g
天然塩…300g
卵白…1個分
ローズマリー…1枝
こしょう…少々

 
作り方
①鉄板に室温に戻した、豚肩ロース肉を乗せ、こしょうをふり、ローズマリーをちぎってのせる。
②ボウルに塩と卵白を入れて、指でぐるぐると混ぜる。
③①の豚肉を②の塩で包み、隙間なく、崩れないようにしっかり形を整える。
④160度に温めたオーブンで約30分焼く。鉄串を中心部にさし、熱くなっていればオーブンから出す。
⑤10分以上休ませたら塩釜を外し、カットする。

 

なかがわ耳鼻咽喉科 院長福元晃先生のコラム

 
高齢者と運転

 
最近、高齢者ドライバーの話題を目にすることが多くなりました。日本では75歳以上の方は認知機能検査と高齢者講習を受講しないと免許証の更新ができず、認知機能検査で「記憶力・判断力が低くなっている」との結果であった場合は、認知症について専門医による診断を受け、診断によっては運転免許の取り消しなどがなされるようになりました。医師会でもこの制度にどのように対応するか議論がなされていました。

 
日本に限らず、アメリカでも高齢者ドライバーに関する法律があるようです。ある医学雑誌でアメリカでの高齢者ドライバーのことがエッセイとして書かれていました。運転をやめることは、単に運転をやめることにとどまらず、ある高齢者にとっては車は正常であることの証であり、車の運転を止めることは老年の痛切な儀式の一つとなる場合があるようです。その執筆者は良好な関係で、全て適切に会話が進んだにもかかわらず、患者さんを憤慨させてしまった自身の経験から「高齢になり普段の生活から少しずつ奪われていくものがあるが、運転を止めさせることで、ショッピングに行ったり、友人に会いに行ったり、自らの尊厳を維持するための最後の砦まで奪ってしまうことがある。このようなことに係わる場合には、運転ができなくなることがどの位、その方の人生に影響を与えるのか正しく認識することもまた重要なことの一つであろう」と述べていました。

 
またその執筆者はその他いくつかの問題点を挙げています。「メディアは高齢者ドライバーは危険で、いかに運転を止めさせるかといった報道を好む。しかし、我々には運転を学ぶ若者に対するサポートはあるが、いかに可能な限り安全な運転を維持できるか、また車を運転しないでどのようにより良く生活することができるかということを学びたいという高齢者に応えるための選択肢、サポートに欠いている。そのようなサポートがなければ、車の運転を止めることは健康を脅かすものともなりうる」、「都心ではバス、地下鉄、タクシーなどの代替手段が多いが、都心以外ではそのような手段が少なくなる」、「運転を止めることにより社会的孤立やうつを増加させる可能性がある」。国の違いはありますが、高齢者のドライバーにどのように対応し、サポートをしていくべきなのか、またいろいろと考えさせられました。