NATURAL

News Letter No.91

2015.10.01

腰痛の痛みは、三種類の痛みが絡み合って起きる事が多い

腰痛はなぜ起きるのか。そのメカニズムについて考えてみましょう。「痛み」のことを医学用語では「疼痛」と呼びますが、「痛み」には、「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「非器質性疼痛」の三つがあり、腰痛の場合はそれらが単独で生じるよりも、絡み合って起こっている場合が多いことが分かっています。

 

体の一部が損傷されることによって起こる痛み(侵害受容性疼痛)

ケガをするとそこに炎症を起こす物質が沢山できます。その物質がどんどんできてくると、神経に「痛い」という信号が来て、痛みを感じることになるのです。つまり、ケガなどの痛みは炎症によって生じる痛みと考えられ、専門的には「侵害受容性疼痛」と言われています。「侵害受容性疼痛」が原因となっている腰痛を挙げてみると、例えば、重い物を持ったり腰を捻ったりしたときに、腰の筋肉の表面的なところに炎症が起こって痛みが生じることが考えられます。あるいは、椎間関節と呼ばれる腰の関節の部分を捻ったり、作業などで前かがみの姿勢をずっと取っていたりすることで関節に負担がかかり、関節に炎症を起こすことがあります。また、あまりにも重すぎる物を持ったため椎間板に亀裂が走ったり、椎間板の繊維が少し壊れたりすると、そこに炎症が起こります。痛みは急に現れることもあれば

 
長い年月を経て少しずつ起こってくることもあります。また、骨の痛みと筋肉の痛みの違いは本人には分かりません。その為、侵害受容性疼痛の原因となっている炎症がどこで起きているのかを自覚するのは困難です。

 

神経の働きが悪くなって起こる痛み(神経障害性疼痛)

これは、炎症とは全然関係がなく神経が何らかの原因によって働きが悪くなる事によって起こります。神経の種類を三つに分けると、一つは細い神経である末梢神経です。もうひとつは脊髄で三番目は脳ということになります。原因はなんでも構いませんが、これら三つのうちの全部、あるいはいずれかの働きが悪くなった時に電気的な異常反応が現れます。そうすると神経が興奮し、「痛い」という信号が脳に行きます。それは、末梢神経であっても、脊髄でも、脳の場合でもどこでも同じです。腰痛の場合、脊髄でなくても、痛みの信号が脳に伝わります。つまり、神経が何らかの原因で損傷し、異常に興奮することによって痛みが認識されるのです。物理的な怪我や圧迫で神経が損傷する以外に神経が侵されるケースとしては、ウイルスなどによって神経が障害される場合があります。神経が変性して「脱髄」という現象を起こします。「非器質性疼痛」については来月号で詳しく紹介致します。
参考文献:あなたの腰痛が治りにくい本当の理由 著:紺野愼一

 

とら食堂

こんなごはん、あんなおやつ、皆さまのおすすめレシピも教えて下さいね。

 
MENU モンブランクリームのパフェ

 
栗(皮つき)…200g(皮をむいた状態で150g)
生クリーム…60cc
牛乳…40cc
メープルシロップ…大3
バター(食塩不使用)…10g
生クリーム…100cc
砂糖…10g
カステラ…適量
ココアパウダー…適量

 
①栗は皮のまま鍋に入れ、ひたひたの水を加えて強火にかける。沸騰したら中火にし、30分~40分、柔らかくなるまで茹でる。(一個切って確認する)ざるにあげ、包丁で半分に切る。
②栗の中身をスプーンでかきだし、フードプロセッサーに入れる。生クリーム、牛乳、メープルシロップ、バターを加えて滑らかなペーストになるまで撹拌する。
③グラスにカステラを入れ、砂糖と一緒に泡立てた生クリーム、栗のペーストを交互に絞り出していく。ココアパウダーをふる。

 

なかがわ耳鼻咽喉科 院長福元晃先生のコラム

風邪と副鼻腔の異常

 
9月に入り急に寒くなったり、暑くなったりなかなか体温調整が難しいですね。体調を崩されている方も多いようです。今回は風邪を引いたときに鼻と副鼻腔にどのような変化が生じているのかを調べた論文をご紹介したいと思います。副鼻腔に炎症を起こしたものが副鼻腔炎です。以前は蓄膿症とも呼ばれていました。この論文では風邪以外は特別病気のない18歳以上の成人を対象にCTを撮影し鼻と副鼻腔を評価しています。するとCTを撮影した31人中、27人(87%)が副鼻腔に異常を生じていたそうです。風邪はライノウイルスなどのウイルスによるものでself-limited、2週間くらいで自然に回復します。その2週間後位に再びCTを行うと、多くの方で抗生剤を使用しなくても副鼻腔の異常が著しく改善または消失していたとのことでした。

 
これは顔を正面から見たCTです。CTでは骨は白く写り、空洞は黒く抜けます。左側のCTは風邪を発症してから5日目の画像です。粘膜が腫れたり、分泌液が貯まっていることにより、上顎洞という頬のあたりにある空洞が灰色になっています(▲)。右側のCTは風邪を発症してから15日目のCTです。抗生剤を使用しなくても空気が入り黒く抜け、ほとんど元の空洞に戻っています(☆)。風邪を引いているときには多くは副鼻腔にも異常がみられますが、必ずしも治療が必要というわけではないようです。この状態で抗生剤を使用することは過剰診療になってしまいます。しかしもちろん、症状が改善しない場合、また少し良くなったと思ったら再び熱が上がってきて色のついた鼻がどんどん増え、痛みが増してくるなど症状が悪化してきた場合には治療が必要です。風邪との見極めが重要です。

 
Gwaltney JM Jr et al. Computed tomographic study of the common cold. N Engl J Med 1994;330:25-30