NATURAL
News Letter No.102
2016.09.01
自分を変える習慣力
五郎丸選手のルーティン効果
2015年ラグビーワールドカップで大活躍した、日本代表の五郎丸歩選手。五郎丸選手がキックの前にする、両手の人差し指を突き出す独特なポーズが、日本中で話題になりました。これは、「ルーティン」という意識的につくった習慣です。五郎丸選手が、キックの前に行うこのルーティンは、キックの精度を高める為に行われています。これは、五郎丸選手がキック前にしていた動きのクセを基に、彼をサポートするメンタルコーチと一緒につくったものです。このルーティンは、例のポーズだけでなく、ボールを置いてから何歩下がるとか、どの時点でゴールを見るかとか、こと細かく手順が決まっています。さらには、五郎丸選手特有のクセを基につくられているので、あの指を突き上げるポーズだけ真似をしても、他の人には何の効果もありません(笑)
ルーティンには、心を落ち着かせ、集中力を高める効果があると言われていますが、じつは本質はそこではありません。ルーティンという一定のことをすることによって、潜在意識が、キック時における最高の身体の動きを毎回再現するためのプログラムを潜在意識の
中につくり、それを利用しているのです。このルーティンにより、五郎丸選手のキックの精度は抜群に高い。ラグビージャパンチームの活躍は、実は潜在意識を味方につける事を実践した結果でもあるのです。
ネイマールは、脳をほとんど使わないサッカーのブラジル代表フォワードにネイマールという選手がいます。独立行政法人・情報通信研究機構のチームの研究によると、ネイマール選手がドリブルなどで足を動かす際、脳の活動範囲がアマチュア選手の1割以下であることがわかりました。MRI(磁気共鳴画像化装置)の中で、ネイマール選手に横たわってもらい、指示に従って、足首を回すなどの動作をしてもらった時の、大脳の運動野を調べました。結果、同じ動きをした際のネイマール選手の大脳の運動野は、アマチュアのサッカー選手の7%、スペイン2部リーグのプロ選手の11%から44%だったそうです。つまり、ネイマール選手の場合、アマチュア選手の10分の1以下、2部のプロ選手の半分以下の脳を動かすだけで、同じような動きが出来るということです。ネイマール選手は、意識的というよりは、ほぼ感覚的に(無意識的に)ドリブルをしている感じなのだろうと思います。これは、サッカーというものに対して、ネイマール選手が世界最高峰の習熟度の高さを示しているということです。「無意識でやっている」という段階が、究極的に進んだ一例でしょう。ドリブル自体に意識がほとんど行っていないので、脳は他の多くの情報を同時に処理する余裕があります。習慣化された重要な行動があまり意識や意思を使わずに自動操作モードで実行されていくので、脳が他の情報を処理する余裕が出てくるのです。
※参考文献「自分を変える習慣力」三浦将著
とら食堂
こんなごはん、あんなおやつ、皆さまのおすすめレシピも教えて下さいね。
MENU モロヘイヤと豚肉の炒め物
モロヘイヤ…1袋
豚バラスライス…200g
塩、コショウ…少々
にんにく…1かけ
ごま油…大さじ1
オイスターソース…大さじ1
しょうゆ…小さじ1
作り方
①モロヘイヤは、洗って、下の固い部分の茎は落とす。3cm位に切る。豚肉も3cm位に切って塩コショウをする。
②フライパンにごま油とみじん切りのにんにくを加え、いい香りがしてきたら豚肉を加えて色が変わるまで炒める。
③②のモロヘイヤを加え火を通す。
④仕上げに、オイスターソースとしょうゆを加えてなじんだら出来上がり。
なかがわ耳鼻咽喉科 院長福元晃先生のコラム
映像メディアと滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は鼓膜の奥に水がたまる病気です。小学校に入学されるまでのお子さんには、よくみられる病気です。多くは自然に治りますが、中には難治の場合もあります。その滲出性中耳炎に対し、少し違ったアプローチで治療を試みられた先生の論文がありましたのでご紹介したいと思います。その治療とはテレビ、ビデオなどの映像メディア視聴を制限するというものです。薬物療法などで改善しない滲出性中耳炎のお子さん49名に、平日はゲームは禁止、テレビ・ビデオの視聴は1時間まで、それ以上はビデオ録画し、土日祝日に視聴。土日祝日はテレビ・ビデオは無制限、ゲームは1日1時間までという制限を1~4週間行ったそうです。すると、きちっと制限ができたお子さんでは滲出性中耳炎が軽快する傾向が見られました。またメディア制限終了後に再発した8名のお子さんに、再度メディア制限を行うと再び滲出性中耳炎が軽快したとのことです。なかには投薬を行わなくても、メディア制限・解除に応じて軽快・悪化するお子さんもいらしたそうです。メディア制限がすべてのお子さんに効果があるかどうかはわかりませんが、再現性はあるよ
うなので通常の治療で改善しない場合に試みてみる価値はあるかもしれませんね。機序はよくわかっていませんが、メディア制限達成度と睡眠習慣改善度に関連があり、改善の機序の一つに睡眠習慣の改善があるかもしれないと述べられていました。
1) 辻川 覚志他. 映像メディア視聴の小児滲出性中耳
炎への影響.耳鼻臨床 105:7;623-629,2012