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投球障害肩(成長期)

2019.03.02

成長期の投球障害肩で器質的損傷がある事はすごく稀で、身体機能や投球フォームに異常を認める例が多くあります。

成長期の骨には骨端線という成長軟骨板があり、骨をはじめ筋、腱、靭帯の柔軟性に富んでいることが特徴です。

柔軟性に富んでいるものの、骨が一番影響を受けやすく、誤った投球動作を繰り返していると、上腕骨の肩関節に近いほうの骨端線を損傷しやすく、

リトルリーガーズショルダーになる事が多いです。

「リトルリーガーズショルダー」の画像検索結果

引用元:社会医療法人仁陽会 西岡第一病院

 

投球動作の繰り返しにより肩に負担が蓄積され痛みを生じますが、遠投や全力投球などの一回の投球で痛みを痛みを生じることもあります。

リトルリーガーズショルダーはスポーツ傷害として、深刻な予後になることはないですが、野球の①技術、②練習量、③習慣に対しての警告と思った方がいいでしょう。

予防をするのも上記の①②③の改善をすると痛みを未然に防ぐ可能性が高くなります。

選手の野球開始時期やポジションの変化、練習時間などそれぞれ環境が異なる為、選手個々の対応が必要です。

 

症状

肩の外側から後ろにかけての上腕骨近位骨端線に痛みが出るケースが多いです。

痛みのある部分に変形や腫れは特にないのですが、肩甲骨の左右非対称差が出ることが多くあり、

典型的な場合は安静時に肩甲骨の下制(肩甲骨が下に落ちる)、外転(肩甲骨が外側に開く)が見られる事が多くあります。

十分に上腕骨と肩甲骨の連動ができておらず、腕が上がらない状態で肘下がりの投球フォームから無理に投球しようとすると痛める選手が多いです。

 

治療

1~2ヶ月の投球禁止により痛みが消失する事が多く、バッティングは通常禁止しなくてもよいですが、重症例では2~3週のバッティング禁止期間を要することがあります。

レントゲン(X線)では骨端線の拡大像が見れます。安静にする事で時間の経過と共に改善しますが、症状の改善より遅れて改善を認める為、

痛みが完全に消失してから投球を再開することが多いです。

そして再発防止をする為に故障に繋がる投球フォームを修正して行きます。

まずシャドーピッチング、ネットスローで投球フォームを調整していき、その後ボールを持ち実際に投球して行きます。

最初に遠投してしまうと痛みが出る恐れがある為、最初の1ヶ月は近距離(10~15m)で60~70%ぐらいの力で投球し徐々に距離を伸ばしていくのがいいでしょう。

距離を伸ばしていき遠投ができるようになって1ヶ月~2ヶ月後に全体練習、試合に復帰します。

 

 

骨端線の障害なので痛みがある状態で練習を継続させてしまうと骨の成長に障害が起きてしまう恐れがありますので、

痛みが出たらすぐに医療機関にて精査、状態のチェックを行う事をお勧めします。